なぜ、マイケルは信頼できるはずのトム・ヘイゲンを外したのか?  ―マイケル・コルレオーネに死美れる(14発目の銃弾)―






最初にBDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に同BD収録の英語字幕を紹介する。英語字幕は実際の発音と違う場合もあるが、画面表示通りにしている。







マイケルがボスになってからの幹部会


【字幕】

ファミリーの幹部がドンの書斎に集まって議論する。

テッシオ「バルジーニの連中がうちの縄張りに。そのうち追い出されちまう」

マイケル「ガマンだ」

テッシオ「好きなようにやらせてもらう」

マイケル「耐えろ」

クレメンザ「わが身も大切だ。手下を増やすぞ」

マイケル「だめだ。奴に口実を作らせる」

テッシオ「ついていけん」

クレメンザ「(先代のドンに)いずれ我々にも新しいファミリーをと言いましたね。考えもしなかったがお許しを」

ドン「今はマイケルがボスだ。許可はマイケルが出す」

マイケル「我々がベガスへ移ったら君達の独立を許す。移ってからだ」

クレメンザ「いつです?」

マイケル「6ヵ月後」

テッシオ「(先代に)ゴッドファーザーがいなくなれば、俺達はバルジーニにやられちまう」

クレメンザ「とてもガマンできん。6ヵ月後じゃすでに奴らの天下だ」

ドン「わしの言葉を聞くか。信頼しとるな?」

クレメンザ「どんな時でも」

ドン「ならマイケルに協力を。いいな」

マイケル「君達の心配に対する答えは用意してある。今はそれしか言えん。カルロはネバダ育ちだ。移る時は右腕になってくれ。トムは相談役をやめてベガスで弁護士を。信頼してないわけじゃない。だが、父にまさる相談役はいまい。以上だ」

トム「マイケル。なぜ俺をおろす」

マイケル「トムは戦いに向かない。これから荒れてくる」

ドン「トム。わしがそう言った。お前は立派な相談役だ。むしろ、ソニーの方が器じゃなかった。マイケルはしっかりしてる。お前をはずしたのは理由があってだ」

トム「力になれる」

マイケル「ムリだ」







【吹き替え】

ファミリーの幹部がドンの書斎に集まって議論する。

テッシオ「バルジーニ一家が俺の縄張りにじりじり食い込んできてる。今にブルックリンではあいつにごっそりいかれてしまう」

マイケル「辛抱しろ」

テッシオ「その辛抱しろって命令を取り消してほしいんだよ」

マイケル「辛抱しろ」

テッシオ「自衛手段くらい取らなきゃ。ついては若いもんを集めさしてほしい」

マイケル「駄目だ。バルジーニに抗争の口実を与えたくない」

テッシオ「マイケル、そりゃ違うぞ」

クレメンザ「(先代のドンに)ドン・コルレオーネ、いずれ俺もテッシオも一家を構えていい時が来るとおっしゃってました。今がその時だと思います。許してもらえませんか」

ドン「ファミリーのリーダーはマイケルだ。マイケルが許すというなら私も祝福しよう」

マイケル「僕らがベガスへ移った後なら、君らがファミリーから独立するのは自由だ。だから、移った後にしろ」

クレメンザ「いつ頃になるんだ」

マイケル「半年後だ」

テッシオ「(先代に)しかし、あなたがニューヨークからいなくなれば、俺もクレメンザもバルジーニの配下に置かれてしまう」

クレメンザ「俺はあいつ大っ嫌いなんです。半年もすりゃもうあいつらの天下になってます」

ドン「私の言う事なら聞くか?」

クレメンザ「ええ」

ドン「忠誠を誓うか?」

クレメンザ「はい誓います、ゴッドファーザー」

ドン「ならマイケルを助けろ。協力しろ。ん?」

マイケル「君らの焦りは無理もないが、問題解決の手立てはちゃんと考えてある。今はそれしか言えない。カルロ、君はベガス育ちだ。向こうへ行ったら私の右腕になってくれ。ヘイゲンは相談役から外す。ベガスでは顧問弁護士だ。仕事の都合でそうするだけだ。それに、父にまさる相談役はいないからな。以上だ」

トム「マイケル、なんで外すんだ?」

マイケル「抗争時の相談役には向かない。今後の情勢は荒れる一方だからな」

ドン「トム。来い。なあ、私が勧めたんだよ。コンシリアリとして不満があるわけじゃない。それより、言っちゃなんだがお粗末だったのはソニーだ。私はマイケルを信頼しとる。君も同じだろ。しかし、これからの事を考えると君は現場を離れた方がいい」

トム「力になれるのに」

マイケル「いや、外れてくれ」







来るべき大計画に備えおとなしくしているうちに勢力を伸ばす他のファミリー、弱ったドン、死亡したソニー、頼りないフレド、新米ボスのマイケル……


それからもう一つ、ファミリーの評判を傷つける要素が原作(翻訳本)には書かれている――


「そしてもちろん、アイルランド人をコンシリエーレにしたことは、ドンがおかした唯一の愚行であった。狡猾さという点で、アイルランド人がシシリー人にかなうはずはなかった。すべてのファミリーの意見がこのようになってゆき、当然彼らは、コルレオーネ・ファミリーよりもバルツィ―ニとタッタリアの同盟軍のほうに敬意を払うようになっていった」


荒れそうな場にヘイゲンを置きたくないというのが表向きの理由だが、重要なメンバーを肝心な仕事から外すのはやはりひどい仕打ちだ。


ヘイゲンを抜いたのは、少しでもファミリーの権威を落とさないための方策でもあったのかもしれない。



トム・ヘイゲンが不満を口にするところだが、特別完全版にしか収録されていない部分があるので紹介する。

【字幕】

トム「マイケル、なぜ俺をはずす?」

マイケル「これからは合法的な活動にする。君が必要だ」

トム「ロコを裏で使っているのはどういうことだ。ネリも、君に直接報告をしている」

マイケル「それで?」

トム「なんで、あんな奴らを使うんだ」

ドン「トムには隠せんよ」

トム「マイケル。なぜ俺をおろす」

マイケル「トムは戦いに向かない。これから荒れてくる」

ドン「トム。わしが、そう言った。お前は立派な相談役だ。むしろ、ソニーの方が器じゃなかった。マイケルは、しっかりしてる。お前をはずしたのは理由があってだ」

トム「力になれる」

マイケル「ムリだ」

ヘイゲンが出ていく。この時点で部屋に残っているのは、マイケル、ドン、殺し屋のネリだけ。

マイケル「ネリ、はずしてくれ」

ドン「(ネリが去った後で)お前のルカ・ブラジだな」

マイケル「大切だ」







【英語字幕】

ファミリーの幹部がドンの書斎に集まって議論する。

テッシオ「Barzini's people chisel my territory and we do nothing about it! Soon I'll have no place to hang my hat!」

マイケル「Be patient」

テッシオ「I'm not asking for help. Just take off the handcuffs」

マイケル「Be patient」

テッシオ「We must protect ourselves. Let me recruit some new men」

マイケル「No. Barzini would get an excuse to fight」

テッシオ「Mike, you're wrong」

クレメンザ「(先代のドンに)Don Corleone……You once said that one day Tessio and me could form our own family. Till today I would never think of it. I must ask your permission」

ドン「Michael is now head of the family. If he gives his permission, then you have my blessing」

マイケル「After we make the move to Nevada you can leave the Corleone family and go on your own」

クレメンザ「How long will that be?」

マイケル「Six months」

テッシオ「(先代に)Foegive me, but with you gone, me and Pete will come under Barzini's thumb」

クレメンザ「I hate that Barzini. In six months' time there will be nothing left to build on」

ドン「Do you have faith in my judgement?」

クレメンザ「Yes」

ドン「Do I have your loyalty?」

クレメンザ「Always, Godfather」

ドン「Then be a friend to Michael. Do as he says」

マイケル「Things are negotiated that'll solve your problems and answer your questions. That's all I can tell you now. Carlo, you grew up in Nevada. When we make our move there, you'll be my right-hand man. Tom Hagen is no longer consigliere. He'll be our lawer in Vegas. That's no reflection on Tom, just how I want it. If I ever need help, who's a better consigliere than my father? That's it」

トム「Mike……Why am I out?」

マイケル「You're not a wartime consigliere, Tom. Things may get rough with the move」

ドン「Tom. I advised Michael. I never thought you were a bad consigliere. I thought Santino was a bad Don, rest in peace. Michael has all my confidence, just as you do. But there are reasons why you must have no part in what is going to happen」

トム「Maybe I could help」

マイケル「You're out, Tom」





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