なぜ、マイケルはわざわざカルロに自白させたのか?  ―マイケル・コルレオーネに死美れる(17発目の銃弾)―






最初にBDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に同BD収録の英語字幕を紹介する。英語字幕は実際の発音と違う場合もあるが、画面表示通りにしている。







ソニー殺害の件でカルロに詰問するマイケル


【字幕】

マイケル「ソニーをハメたな」

カルロ「誤解だ」

マイケル「バルジーニに売った。わざと夫婦ゲンカをして。だましきれると思ったか」

カルロ「俺は知らん。信じてくれ。マイケル。頼むよ。助けてくれ」

マイケル「バルジーニは死んだ。タッタリアも。モー・グリーンも。ストラキ……クネオ……。今日、すべてカタをつける。ウソは言うな。正直に言え。(同席の側近に命じて)酒をやれ。心配するな。俺が妹を不幸にするか。お前の息子の名づけ親だぞ。さあ。飲めよ。もう、ファミリーの仕事はさせん。それが罰だ。ベガスへ行け。トム。(トムから受け取った航空券をカルロに渡し)おとなしくしてろ。やった事は認めろ。バカにされるのだけはガマンできん。誰にそそのかされた。タッタリア? バルジーニ?」

カルロ「バルジーニだ」

マイケル「車で空港まで送る。妹には連絡しとく。(自分に近づこうとするカルロに)早く消えろ」







【吹き替え】

マイケル「ソニーの償いをしてもらうよ」

カルロ「何もしてないよ、俺は」

マイケル「バルジーニ一家に売ったんだろ? コニーとわざと夫婦ゲンカしてな。だまし通せると思ったのか?」

カルロ「いや俺じゃない。そんな事はしてないんだ、ほんと。頼む、やめてくれ」

マイケル「座れ」

カルロ「やめてくれ、頼むよ」

マイケル「バルジーニは死んだ。フィリップ・タッタリアも。モー・グリーンも。ストラッチも。クネオも。ファミリー間のもめ事は全部片を付ける。だから、うそはつくな。やった事を認めろ。(同席の側近に命じて)酒をやれ。カルロ、怖がる事はないだろ。自分の妹を独りにすると思うか? 私は子供の名づけ親だぞ。ほら飲め。飲んで。ファミリーの仕事からは外すからな。それが処罰だ。クビにする。ベガス行きの飛行機に乗れ。トム。(トムから受け取った航空券をカルロに渡し)あそこから出るな。わかったな。ただ、無実だけは言い立てるな。それは私をばかにする事になる。それだけは許せない。そそのかしたのはどっちだ。タッタリアか? バルジーニか?」

カルロ「バルジーニだ」

マイケル「そうか。表に車が待っている。それで空港へ行け。コニーにはいつ着くか電話しとく」

カルロ「マイケル、頼むから」

マイケル「とっとと消えろ」







鎌をかけたのは絶対の確信がなかったからだろうが、それでもソニーなら即バラしたろう。ドン殺害未遂事件後のポーリーにそうしたように。


マイケルが感情に流されないのははっきりしている。


理性でスイッチを入れる人間だ。


だからカルロに自白させることが必要だった。


告白された後の冷たい表情はいかにもスイッチ入った感がある。


正当性を獲得すればもう強気! マフィアなら殺しも簡単!


そもそも主役があまり理にかなわない殺人をしたら観客がついてこないので、こういった工夫は必要ともいえるが。


ポーリーのときと違い銃を使わない面倒で派手な殺し方だが、これは大殺りくの最後をうまく締めくくるための映画的演出なのかもしれない。


ただ、身内への殺しなのに意外と周囲にゾロゾロ人がいるところが気になる。こっそりとやるべきだろうに。


しかも、屋敷前で堂々とやっている――これは近くに女たちがいないことを示しているが、つまりは純粋に男だけが集まる世界の残忍さが表現されているのではなかろうか。


原作(翻訳本)でのマイケルの描写が単純ながらたまらない――


「戸口に立っているのはマイケル・コルレオーネだった――彼の顔、それはカルロ・リッツィがしばしば夢に見る、死の顔であった」







【英語字幕】

マイケル「You have to answer for Santino, Carlo」

カルロ「Mike, you got it all wrong」

マイケル「You fingered Sonny for Barzini. That little farce you played with my sister. You think that could fool a Corleone?」

カルロ「I'm innocent. I swear on the kids. Please don’t do this」

マイケル「Sit down」

カルロ「Don’t do this to me, please」

マイケル「Barzini is dead. So is Philip Tattaglia. Moe Greene. Strachi. Cuneo. Today I settle all family business, so don’t tell me you're innocent, Carlo. Admit what you did. (同席の側近に命じて)Get him a drink. Come on. Don’t be afraid, Carlo. Do you think I'd make my sister a widow? I'm godfather to your son, Carlo. Go ahead, drink, drink. No, you're out of the family business. That's your punishment. You're finished. I'm putting you on a plane to Vegas. Tom. (トムから受け取った航空券をカルロに渡し)I want you to stay there. Understand? Only don’t tell me you're innocent. Because it insults my intelligence. Makes me very angry. Who approached you? Tattaglia or Barzini?」

カルロ「It was Barzini」

マイケル「Good. There's a car waiting outside to take you to the airport. I'll call your wife and tell her what flight you're on」

カルロ「Mike……」

マイケル「Get out of my sight」





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