最初にDVD収録の字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に同DVDの英語字幕を紹介します。
ソロッツォとコルレオーネの会合
【字幕】
ソロッツォ「ドン・コルレオーネ。あんたは顔がきく。現ナマも動かせる。あんたの息のかかった政治家どもも欲しい。山ほど要る」
ドン「わしの取り分は?」
ソロッツォ「30パーセント。最初の年で300~400万ドル。すぐにのびる」
ドン「タッタリア・ファミリーは?」
ソロッツォ「(トム・ヘイゲンを見て)その事を?」
ヘイゲンがうなずく。
ソロッツォ「私の取り分で片をつける」
ドン「すると、わしは資金とその筋を押さえるだけで30%か。なぜ、わしの所へこんな甘い話を?」
ソロッツォ「100万の現ナマを動かせる人はそうはいない。乾杯を」
ドン「(立ち上がってソロッツォに酒をつぎながら)わしが君に会ったのは真面目な男だと聞いたからだ。話は、お断りする。なぜか言おう。わしは政治家の友達が多い。だが、わしが麻薬に手を出したと知ったら皆離れていく。麻薬はうす汚い。他人が何をしようと文句は言わん。だが、君の仕事は危険だ」
ソロッツォ「金の保証ならタッタリアに」
ソニー「タッタリアが保証を?」
ドンがソニーをさえぎり、皆が気まずい顔をする。
ドン「わしは子供達に甘すぎてな。すぐに余計な口をはさむ。ともかく、この話は断る。せいぜい、しっかりやってくれ。きっとうまくいく。お互い、対立だけは避けてな」
ソロッツォがドンと握手をし、部屋を出ていく。
ドン「ソニー。来い。どういう気だ。女と遊びすぎて頭がたるんだか。人前で、二度と勝手な事を言うな。行け」
【吹き替え】
ソロッツォ「まあ、そういうわけで、今欲しいのは強力な味方だ。それからキャッシュで100万ドル。さらにあんたがポケットに入れているときに出して使ってる政治家連中ですかな」
ドン「うちのファミリーの取り分は?」
ソロッツォ「30パーセント。1年目は300万から400万ドルになって、そのあとは増える」
ドン「で、タッタリア・ファミリーの取り分は?」
ソロッツォ「(トム・ヘイゲンを見て)さすが鋭い」
ヘイゲンがうなずく。
ソロッツォ「あちらの面倒は見ますよ。おれの懐で」
ドン「すると融資をして法的な保護を確保する、それだけで30%の利益というわけかね」
ソロッツォ「そのとおり」
ドン「なぜ私のとこへ、そんなうまい話をなぜ持ってきた?」
ソロッツォ「現金100万ドルを単なる融資とそう見ますか? さすが太っ腹ですな」
ドン「(立ち上がってソロッツォに酒をつぎながら)こうやってあんたと会ったのは真面目な人物だと聞いたからだ。尊敬に値すると。しかし、返事はノー。その理由はこうだ。たしかに私は政治家の友人が多い。しかしその私が薬商売に手を染めたとしたら彼らとの友情も長続きはしない。麻薬は汚い商売だと思っているからだ」
ソロッツォ「いや、しかしそれは……」
ドン「人の生き方に文句はつけない。何をやってもうけようと自由だ。しかしあんたの商売は、いささか危険だ」
ソロッツォ「100万ドルの融資が心配だったら、タッタリアが保証しますがね」
ソニー「タッタリアが投資分を保証するって?」
ドン「まあ、待て」
ドンがソニーをさえぎり、皆が気まずい顔をする。
ドン「子供に甘いのが私の弱点でね。ご覧のようなありさまだ。余計なときにしゃべる。だが、とにかく私の返事はノーだ。変わりはない。まあ事業拡張には祝いを言っておく。あんたのことだ、うまくやるだろう。幸運を祈る。お互いの利益のためにも対立は避けたいものだ。それじゃ」
ソロッツォがドンと握手をし、部屋を出ていく。
ドン「ソニー。来い。どうしたんだ、お前? 脳みそがふやけたんじゃないか? 若い女と遊んでばかりいるからだ。ファミリーの者以外には手の内をさらけるんじゃないぞ。もういい」
シチリアでは戦後、名誉を重んじる伝統的マフィアと富ばかり求める新興マフィアの対立が深まったという。
だが1930年代のアメリカではすでに、多くのファミリーをまとめたことで有名なラッキー・ルチアーノが古いボスたちに抵抗を感じさせていた。
麻薬や売春などの際どい商売を展開するようになったからだ。
そのルチアーノも連邦麻薬局に目をつけられやすいことで慎重になっていき、ハイマン・ロスのモデルだった超大物マイヤー・ランスキーも「リスクが効果を上回る」という理由で麻薬を嫌っていた。
パレルモで1957年、アメリカとシチリアのボスたちが麻薬密輸ルートを確立するための会議を開いている。
後にマフィアを裏切ることになったトンマーゾ・ブシェッタがその場にいたのだが、彼も米上院で「昔、マフィアが麻薬取引を敬遠したのは注目されやすく危険だったからです」と証言している。
麻薬は目立つのだ。
だがもうひとつ、危険な問題がある。
ルチアーノはマフィア全体を統制する「全国委員会」を創設した男だ。
委員会は企業の取締役会のようなものであり、方針の決定、縄張りの画定、紛争の裁定などを行っていた。
どんな組織や集団にもあって当たり前のルールというやつに従って、マフィアを卓越した巨大犯罪組織にしたのだ。
よって、「勝手なことをする者」は罪である。
またそうであるならば、「勝手なことをさせる物」もまた罪であろう。
まさに! まさに! 麻薬にはそのような危うさがあるのだ!
字幕では「頭がたるんだか」、吹き替えだと「脳みそがふやけたんじゃないか?」と、ドンがソニーを叱責する。
このせりふは示唆的だ。
ソニーの場合は女の話だが、麻薬のような要素は組織を乱すことがある。
強い快楽は人間を狂わせるからだ。
ただの商売道具で済むなら問題ないが、自分でも楽しもうとする連中が増える可能性は十分ある。
おかしな言動をするメンバーが発生してしまうと障害になってしまう。足手まといになる。
賢明なドンにはそういった危機意識があったのではないか。
それもまた、麻薬を嫌った理由だったのかもしれない。
ちなみにソニーの失言は物語を動かす上で必要だったものだが、原作には「ドンの言いなりになるのが嫌で、自分がボスとなって何か大きな仕事をやってみたかった」という彼の心情も説明されている。
【英語字幕】
ソロッツォ「Don Corleone. I need a man who has powerful friends. I need a million dollars in cash. I need those politicians that you carry in your pocket, like nickels and dimes」
ドン「What is the interest for my family?」
ソロッツォ「30 per cent. In the first year your end should be three, four million dollars. And then it would go up」
ドン「And what is the interest for the Tattaglia family?」
ソロッツォ「(トム・ヘイゲンを見て)My compliments」
ヘイゲンがうなずく。
ソロッツォ「I’ll take care of them, out of my share」
ドン「So I receive 30 per cent for finance, political influence and legal protection?」
ソロッツォ「That’s right」
ドン「Why do you come to me? Why do I deserve this generosity?」
ソロッツォ「If you consider a million dollars in cash just finance, ti salute, Don Corleone」*ti saluteはイタリア語で「あなたに敬意を表する」という意味。
ドン「(立ち上がってソロッツォに酒をつぎながら)I said that I would see you, because I heard you were a serious man, to be treated with respect. But I must say no to you. And I’ll give you my reason. It’s true, I have a lot of friends in politics. They wouldn’t be friendly long if I was involved in drugs instead of gambling, which they regard as a harmless vice, but drugs is a dirty business. It doesn’t make any difference to me what a man does for a living. But your business is…a little dangerous」
ソロッツォ「If you’re worried about security, the Tattaglias will guarantee it」
ソニー「The Tattaglias would guarantee our…」
ドン「Wait a minute」
ドンがソニーをさえぎり、皆が気まずい顔をする。
ドン「I have a sentimental weakness for my children, and I spoil them. They talk when they should listen. But anyway…Signor Sollozzo, my no is final. I wish to congratulate you on your new business. I know you’ll do well, and good luck. Especially since your interests don’t conflict with mine. Thank you」
ソロッツォがドンと握手をし、部屋を出ていく。
ドン「Santino. Come here. What’s the matter with you? Your brain is going soft from playing with that girl. Never tell anybody outside the family what you’re thinking again. Go on」

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