ドンの「わしは迷信深い」には裏がある  ―ゴッドファーザーに死美れる(ショット12)―






最初にDVD収録の字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に同DVDの英語字幕を紹介します。


このコーナーは今回で終了です。







5大ファミリーの会合(その2)



【字幕】

コルレオーネ「皆が納得すれば仕方あるまい。お互い話し合いでそれが一番だと思うなら、わしも協力は惜しまん」


バルジーニ「決定だ。麻薬は条件つきで認める。ドン・コルレオーネは保護を与え、戦争は終わりだ」


タッタリア「コルレオーネの契約が欲しいな。時がたって、勢力が伸びても復讐はせんと」


バルジーニ「お互い筋の通った人間だ。弁護士みたいに誓約はいらん」


コルレオーネ「復讐をして息子が帰ってくるかね。お互いに。息子の復讐は忘れよう。だが、一つ言っとく。末の息子が国を追われとる。ソロッツォの一件でだ。わしは、息子を安全に国に戻してやりたい。あれに罪はない。


わしは迷信深い。万一、息子が事故にあったり警官に撃たれたり、あるいは首を吊ったり雷に打たれても、わしは、ここの誰かを憎む。その時は許さん。だが、それ以外は皆に誓おう。今日ここで決めた平和協定をわしは破らん」







【吹き替え】

コルレオーネ「今日は互いに納得すべく集まってもらっている。私も話の分からん人間ではない。諸君の意見が一致して問題が解決するなら意義はない」


バルジーニ「では決定だ。麻薬取引は条件つきで認める。ドン・コルレオーネは東部での保護を与え、停戦を約束する」


タッタリア「だかわしは特にコルレオーネの確約が欲しい。この後次第に立場が強くなってきた場合、個人的な報復を企てはしないか」


バルジーニ「だが通りをわきまえた者同士。弁護士のような保証は必要ないだろう」


コルレオーネ「あんたは報復と言うが、それをやれば息子が戻るのかね。うちもおたくも。私は息子の復讐は忘れる。だが一つ問題がある。三男のことだ。あいつはやむなく国外に出た。ソロッツォの一件でだ。まあそりゃいい。だがそろそろ無事に帰国させる手配をしたいのだ。いわれのない容疑を晴らしてやりたい。


しかし私は迷信深い。万一、息子が事故にあったり警官に撃たれたりした場合は心穏やかではなくなる。独房で首を吊ったりしても同じこと。たとえ雷に打たれて死んでもだ。私は諸君の一人の仕業と思う。決して許しはしない。しかしそれはさておき、かわいい孫の魂にかけて私は諸君に誓う。本日交わした平和協定は絶対に破らない」







原作には、トム・ヘイゲンがマイケルにソロッツォ殺しを思いとどまるよう諭すシーンがある。


ドンへの襲撃は私的なことではない、とも話す(映画ではソニーに言っている)。


ところが意外にもマイケルは、それだって私的なものと考えるべきだと主張したのだ。


おやじからそれを学んだ、と。


そして、こう語るのである――


「彼の友だちが稲妻に打たれたとしても、おやじはそれを人為的なものと考えるだろう。(中略)災難というものは、それを人為的な侮辱と考える者の頭上を避けて通るんだよ」


ボスたちへのヴィトの言葉は、マイケルを守るための警告というよりも昔からの姿勢であり、それゆえに彼は成功してきたということなのだろう。


撃たれたんだから災難に遭ってるじゃん、とか言わないように(笑)。




原作によれば、この会議では麻薬問題だけでなく広範囲にマフィアの活動について協議されている。


参加者は各地のドンと、それぞれのコンシリエーレまたは護衛たちだ。


映画ではテーブルに15人いたが原作も同様で、ニューヨークのボス5人と全米各地のボス10人である。


そのうち11人が具体的に紹介されており、コルレオーネ以外の10人の内訳は以下のとおりだが、名前が映画とは少し違う。


( )内は活動地域である。



《5大ファミリー》

アンソニー・ストラッチ(ニュージャージー州、マンハッタン西部)

オッティリオ・クネオ(ニューヨーク州北部)

エミリオ・バルツィーニ(全米)

フィリップ・タッタリア(全米)


《全米各地》

カルロ・トラモンティ(南部)

ジョセフ・ザルーキ(デトロイト)

フランク・ファルコーネ(西海岸)

アンソニー・モリナリ(西海岸)

ドメニック・パンツァ(ボストン)

ビンセント・フォルレンツァ(クリーブランド)



多くのファミリーが賭博や組合を資金源としている一方、売春にも手を出していたのがタッタリアとバルジーニだ。


が、古いタイプのドンたちは売春業を男らしくないとして嫌っていた。


当然ヴィトもそうであり、タッタリアを「あれは小物だ(字幕)」「あいつはたかが淫売屋だ(吹き替え)」と、この後のシーンで小ばかにしている。


バルジーニが黒幕だとそこで見抜くわけだが、ヴィト役のマーロン・ブランドもまた抜け目がなくごまかしの通じない人物だったと、プロデューサーやスタッフが証言している。


ちっぽけな場面であっても印象に強く残るのは、そんな人物が演じていたからかもしれない。


ちなみに、「小物」や「淫売屋」の原語は「pimp(ポン引き)」だが、マリオ・プーゾがフランク・シナトラにけなされたときにこの言葉を使われたという。


女性にそんなマネをさせることができるほど器量があると言われた気分になって、プーゾはまんざらでもなかったそうだが(笑)。







【英語字幕】

コルレオーネ「I hoped that we could come here and reason together. And I’m willing to do whatever is necessary to find a peaceful solution」


バルジーニ「We are agreed. The traffic in drugs will be permitted, but controlled. Don Corleone will give us protection in the east, and there will be peace」


タッタリア「I must have strict assurance from Corleone. As time goes by and his position becomes stronger, will he attempt any individual vendetta?」


バルジーニ「We are all reasonable men. We don’t have to give assurances」


コルレオーネ「You talk about vengeance. Will vengeance bring your son back to you? Or my boy to me? I forgo the vengeance of my son. But I have selfish reasons. My youngest son was forced to leave this country……because of this Sollozzo business. And I have to make arrangements to bring him back here safely. Cleared of all these false charges.


But I’m a superstitious man, if an unlucky accident should befall him, if he should be shot by a police officer, or if he should hang himself in his jail cell, or if he’s struck by a bolt of lightning, then I’m going to blame some of the people in this room. And that I do not forgive. But, that aside……let me say that I swear……on the souls of my grandchildren, that I will not be the one to break the peace we’ve made here today」





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