最初にDVDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に実際に話された会話の原文を紹介します(DVD収録の英語字幕とは違います)。
寝室を銃撃された後、ファミリーの弁護士トム・ヘイゲンと話すマイケル・コルレオーネ
【字幕】
トム「大丈夫か」
マイケル「いろいろ内緒にしてる。気を悪くしただろ。信用してないと思っただろうな。でも違う。トムが好きだ。だから余計な事は言わなかった。今、信用できるのはトムだけだ。フレドはいい男だ。だが弱すぎる。これは生死の問題だ。トム、兄弟だな」
トム「その言葉はうれしいよ。兄弟だ」
マイケル「そうだ。あとを任せる。ドンの仕事を。思ってた事が起こった。今夜、発つ。すべてを任せる。フレドも手下もロッコもネリも…。家内も子供の命もトムに預ける。ファミリーの将来もな」
トム「犯人を捕まえれば背後が…」
マイケル「ムリだ。すでに死んでる。殺されてる。口を割られては困る者に」
トム「ロッコやネリは? まさか彼らは…」
マイケル「仲間といっても皆、損得だ。それが根本だ。パパが言ってた。相手の立場で考えてみろと。いろんな奴がいる」
【吹き替え】
トム「マイケル、大丈夫か」
マイケル「ああ」
トム「そうか」
マイケル「君にも言えない事が多い。さぞ気を悪くしてることだろうな」
トム「いや」
マイケル「わかってる。しかしそれは信用してないからとかそういう事じゃない。逆に、高く買ってるからだ。好きなんだ。だから余計な事は言わない。今の時点で信用できるのは君だけなんだよ。フレドか? あいつは優しい。だが弱い。それに愚かだ。この家業には合わない。トム、君は兄だ」
トム「私も昔から兄弟と思いたかった。本当の兄弟だと」
マイケル「わかってる。君にしばらく、ドンを任せたい。思ってた通りの事が起こった。私は今夜発つ。だから君に全権を預ける。フレド達の事も。ロッコやネリの事も頼む。家内や子供の命も君に預けたい。信頼してる。ファミリーの将来もだ」
トム「襲撃犯人を捕まえたら糸を引いてる者がわかる…」
マイケル「捕まえるのはムリだ。おそらく奴らはもう死んでる。身内の者に消されてるだろ。内部の者に。しくじった上に口を割られると困る」
トム「しかしロッコやネリまでが関係してるとはとても考えられない」
マイケル「いいか。仲間といってもみんなビジネスマンだ。損得勘定での忠義立てだ。親父に教わった事だよ。周りの者の立場になって考えてみろと。そうすりゃかなりの事が見えてくる」
字幕で「いろいろ内緒にしてる。気を悪くしただろ」とあるが、原文には「同じように苦しませたことが過去にもある」と、マイケルは口にしている。
おそらくこれは、パート1後半のコルレオーネ幹部会議でのことを言っている。
トムに黙って5大ファミリーをつぶす準備をしていたあの件だ。
それ以来トムはファミリーの重大案件にはかかわれなくなってしまい、ジョニー・オーラとマイケルの会談時にも同席を許されなかった。
脚本には、トムがその後にソニーの妻だったサンドラと密会し不倫するシーンがある。
そこでこう打ち明けているのだ――
「今日、マイケルに退席を命じられた。よそ者扱いだ。まるで私がソニーのコンシリエーレだったためにファミリーが負けるはめになったと責めているみたいに」
だからマイケルに、「私も昔から兄弟と思いたかった。本当の兄弟だと(吹き替え)」と言うときの内面にはかなりの安堵感があったのではないだろうか。
だが、マイケルにとっては他に頼れる者がいない切羽詰まった状況でもあったはずだ。
「仲間といっても皆、損得だ(字幕)」という気持ちは、パート1でのテッシオの裏切りがマイケルの脳裏にあったことによるものと脚本には書かれている。
トムがネリにそう話すシーンがあるのだ。
死んでいる襲撃犯を見つけた後、ロッコが「マイケルは?」と所在を探すところで、トムが「ロッコ!」と自分に注意を向けるように振る舞っている。
これはトムが仕切る姿勢を見せることで、マイケルからボスの権限を移譲された様子を説明している。
脚本上そのせりふはなかったのだが、代わりにその場におけるトムの心情がこう描かれている――
「たった今、自分がドンなのだとはっきり理解した」
【原文】
トム「Mikey, are you all right?」
マイケル「Yeah. There’s a lot I can’t tell you, Tom. And I know that’s upset you in the past」
トム「Uh…」
マイケル「Yeah. You felt it was because of some lack of trust or confidence, but it’s because I admire you, and I love you that I kept things secret from you. That’s why at this moment you’re the only one I can completely trust. Fredo? Well, he’s got a good heart, but he’s weak, and he’s stupid. And this is life and death. Tom, you’re my brother?」
トム「I always wanted to be thought of as a brother by you, Mikey; a real brother」
マイケル「I know that. You’re gonna take over. You’re gonna be the Don. If what I think has happened has happened I’m gonna leave here tonight. I give you complete power, Tom. Over Fredo and his men, Rocco, Neri, everyone. I’m trusting you with the lives of my wife and my children, the future of this family」
トム「If we catch these guys, do you think we’ll be able to find out who’s back of all this?」
マイケル「We’re not gonna catch them. Unless I’m very wrong, they’re dead already. They were killed by somebody close to us, inside, very, very frightening they botched it」
トム「What about your people Rocco and Neri. You don’t think that they had something to do with this」
マイケル「See, all our people are businessman. Their loyalty’s based on that. One thing I learned from Pop was to try to think as people around you think. And on that basis, anything’s possible」

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