最初にDVDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に実際に話された会話の原文を紹介します(DVD収録の英語字幕とは違います)。
フランク・ペンタンジェリの自宅を訪ねたマイケル・コルレオーネ
【字幕】
フランク「知らせてくれれば出迎えをしたのに」
マイケル「出迎えは無用だ」
マイケル「事件は知ってるな」
フランク「ああ、本当に驚いたよ」
マイケル「家の中でだ! 俺と妻が寝てる寝室だぞ。子供達が遊ぶ部屋だ。襲われた」
マイケルが椅子に座る。
マイケル「手をかりたい」
フランク「何なりと」
マイケル「ロサト兄弟と手を打て」
フランク「待ってくれ。わしは難しい事は分からんが、奴らはナワ張り荒らしだ。マイアミのロスがバックについてやがる」
マイケル「知ってる」
フランク「なら、なぜ手を打たにゃならん?」
マイケル「ロスが俺を殺そうとした。間違いない」
フランク「何てこった。ブッつぶしてやれ。今ならできる」
マイケル「ここは親父の書斎だ。変わったな。ここに大きな机があった。子供の頃、このそばで騒ぐと叱られた。この家が人手に渡らなくてよかった。最初はクレメンザで今は君だ。父からいろいろ習った。この部屋で。親父は“敵の懐に入れ”と言った。もしロサト兄弟の件をまとめれば、ロスは俺を信用する。それが目的だ。信用させ、油断をさせる。そして家の中の裏切り者を見つける」
【吹き替え】
フランク「ドン・コルレオーネ、来るなら来るで一言言ってくれたらそれ相応の用意をしたのに」
マイケル「知らせずに来たかったんだ。事件の事は知ってるだろ」
フランク「死ぬほどたまげたよ。だけど無事でホッとした」
マイケル「我が家でだぞ! 俺の寝室で家内も寝てたんだ! 子供達も来て遊ぶ部屋だ。我が家だ」
マイケルが椅子に座る。
マイケル「報復に手を貸してもらいたい」
フランク「ええ、そりゃもう何でもする。何をしたらいい?」
マイケル「ロサト兄弟と手打ちをしてもらいたい」
フランク「また妙な事言い出すな。いやわしの、わしの頭では大きな仕掛けは分からんけど、あいつらナワ張り荒らしだ。その後ろにはマイアミのハイマン・ロスがいる。あの野郎が兄弟をバックアップしてるんだ!」
マイケル「そりゃ知ってる」
フランク「じゃ何でだ! なんでわしがあいつらと手を打たなきゃならねんだ!?」
マイケル「私を殺そうとしたのはロスだ。そりゃ間違いない」
フランク「そこまで分かってんのか。だったらいっそ、ブッつぶそうじゃねえかロスもろともに。今ならそれだけの力はある」
マイケル「ここは父の書斎だった。変わったな。昔はここに大きなデスクがあった。子供の頃ここで遊んだけど、静かにしてないと叱られたもんだ。でもよかったよ、他人の手に渡らなくて。初めはクレメンザが住んで、今は君だ。父にはいろいろと教わった。この部屋でだ。父は言ってた。『友達とは親しくしろ。敵とはもっと親しく』。私がロサト兄弟に有利なように話をまとめてハイマン・ロスに見せれば、私との関係は良好にいってると思う。分かるな?」
フランク「分かる」
マイケル「それが狙いなんだ。ロスには友情を疑わせずに信用させ油断させる。そうしとけば身内の裏切り者も見つけられるわけだ」
「知らせずに来たかったんだ(吹き替え)」とマイケルは言うが、それはなぜなのか?
フランクを本当に疑っていたのだとすれば理解できる。
訪問を伝えることで暗殺の準備をされる恐れがあるためだ。
だがそうではないのだから、事前に知らせていてもいいはずなのだ。
この直前ロスに会ったマイケルは、なぜだか「すぐにフランクを訪ねる」とわざわざ教えている(字幕、吹き替えともに訳されていない)。
ロスは当然、マイケルの動きを誰かに報告させるだろう。
マイケルが訪問をフランクに知らせていたらその情報も入る可能性がある。
となると、もしもマイケルがフランクを疑っているなら上記の理由で訪問を知らせないはずだから、知らせたとなるとフランク犯人説はマイケルのうそだったことになる。
マイケルは黙って訪ねることで、うそではないとロスに信じさせようとしたのかもしれない。
フランクに妥協させてロサトとの件をまとめればロスに信用されるとマイケルはもくろんだが、この後の展開で明らかなようにロスは上手だった。
そもそも裏切った人物を許す時点でどこかおかしいと思われてもしかたがないともいえる。
マイケルがあくまで慎重だったのは身内の敵を見つけるためもあるが、父親の影響もありそうだ。
脚本には「なぜロスが襲ったのかはまだわからない。親父にこの部屋で教わった。物事の裏がすべてわかるまで動くなと。けっして」というせりふもあったのだ。
「家の中でだ! 俺と妻が寝てる寝室だぞ(字幕)」と大声で叫んだのは、もちろんフランクに怒りをぶつけたかったからではない。
観客をだます狙いもあったかもしれないが、もうひとつの見方がある。
かつてのマフィアには、家族が過ごす場は神聖でありそこを襲うのはしきたりに反する、といった考え方があったというものだ。
自宅を、それも寝室を襲撃するなど、言語道断であったのだ。
【原文】
フランク「Don Corleone, I wish you would have let me know you were coming. I could have prepared something for you」
マイケル「I didn’t want you to know I was coming. You heard what happened in my home?」
フランク「Mike, I almost died myself we was all so relieved」
マイケル「In my home! In my bedroom where my wife sleeps! Where my children come and play with their toys. In my home」
マイケルが椅子に座る。
マイケル「I want you to help me take my revenge」
フランク「Michael, anything. What can I do?」
マイケル「Settle these troubles with the Rosato brothers」
フランク「Mike, I don’t understand. I don’t. Look, I don’t have your brains for big deals. But this is a street thing. That Hyman Roth in Miami, he’s backing up those sonofabitches」
マイケル「I know he is」
フランク「Then why? Why do you ask me to lay down to them, Mike?」
マイケル「It was Hyman Roth that tried to have me killed. I know it was him」
フランク「Jesus Christ, Mike. Jesus Christ, look, let’s get them all. Let’s hit them all. Now while we got the muscle」
マイケル「This used to be my father’s old study. It’s changed. I remember there used to be a big desk was here… I remember when I was a kid, Frankie, we had to be very quiet when we played near here. I was very happy that this house never went to strangers. First Clemenza took it over, now you. My father taught me many things here. He taught me in this room. He taught me, “keep your friends close, but your enemies closer.” Now if Hyman Roth sees that I interceded in this thing, in the Rosato brothers’ favor, he’s gonna to think his relationship with me is still good. That’s what I want him to think. I want him completely relaxed and confident in our friendship. Then I’ll be able to find out who the traitor in my family was」

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