最初にDVDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に実際に話された会話の原文を紹介します(DVD収録の英語字幕とは違います)。
キューバに大金を運んできたフレドと話すマイケル・コルレオーネ
【字幕】
フレド「お前の結婚がうらやましい。ケイ。子供のいる家庭。一生に一度くらい、俺もパパみたいに…」
マイケル「パパの息子でいるのも大変だ」
フレド「ママによくだまされた。“私の子じゃない”って。本気にしたよ」
マイケル「兄弟だ」
フレド「お前に頭にきてた。話をしたかった」
マイケル「何か飲むだろ」
フレドがウェイターを呼ぶ。
フレド「(マイケルに)バナナ・ダイキリは?」
マイケル「バナナ・ダイキリ」
フレド「同じか」
マイケルがほほ笑んでうなずく。
フレド「バナナ・ダイキリに、クラブ・ソーダだ」
マイケル「ギーリー上院議員が明日、政府の連中と来る。ハバナを案内してくれ」
フレド「それならお得意だ」
マイケル「任せるぞ。夜は大統領官邸で新年を迎えるパーティーだ。終わったら軍の車が俺を送る。一人きりで。ホテルに着く前に俺を殺す気だ」
フレド「誰が?」
マイケル「ロスだ。家を襲ったのもロスだ。奴が黒幕だ。俺を後継者のごとく扱ってるが、彼は引退する気はない」
フレド「どうする」
マイケル「知らん振りをしててくれ。手は打ってある」
フレド「どんな?」
マイケル「ロスに新年は来ない」
【吹き替え】
フレド「俺もお前みたいな結婚がしたかったよ。あの女房に、子供。家族か。一生に一度くらい、パパみたいに、俺も」
マイケル「でも後を継ぐのも大変だぞ。楽じゃない」
フレド「そういやママによくからかわれたよ。“あんたはうちの子じゃない。誰かがうちの前に置いていったんだ”って。ほんとかと思うこともある」
マイケル「そんなことはないよ」
フレド「マイケルよ。俺、怒ってたんだぞ。何でこういうときがなかったんだよ」
マイケル「飲むんじゃないのか?」
フレドがウェイターを呼ぶ。
フレド「あ~、ポルファボール…(マイケルに)バナナ・ダイキリは何てんだ?」
マイケル「バナナ・ダイキリ」
フレド「ほんと?」
マイケル「ほんと」
フレド「あ~、ウノ・バナナ・ダイキリ、バナナ・ダイキリ…それから、クラブ・ソーダ」
マイケル「ギーリー上院議員が、明日の晩ワシントンから飛んでくる。役人も付いてくる。そいつらの接待を頼みたいんだ」
フレド「俺の得意技だ」
マイケル「信用していいだろうな」
フレド「当たり前だよ」
マイケル「その晩遅くなって、みんな大統領官邸に招待される。新年の祝賀会だ。それが終わると、軍の車が送ってくれるはずだ。俺だけを。安全のためにね。だが着く前に俺は、殺される」
フレド「誰に」
マイケル「ロスだ。うちで俺を殺そうとしたのもロスだ。黒幕は奴だよ。お前は息子同然だ、いい後継ぎだ…そう言いながら俺を排除して、長生きしたいんだ」
フレド「俺はどうすりゃいい」
マイケル「知らん顔で調子を合わせててくれ。こっちも手は打ってある」
フレド「どんな手だ」
マイケル「ロスは新年を迎えられない」
ロスに金をやるつもりなどなく、はじめから殺す気だったのなら200万ドルはいらない。
なのにフレドに持ってこさせたのは、それがフレドをキューバに来させる手段だったからではないか。
ロス暗殺の話をし、フレドが裏切り者かどうか確かめるためである。
フレドがロス側ならこの後、暗殺話がジョニー・オーラ経由でロスに伝わる→ロスは警戒し大統領に警護の要請をする、といった動きになるはずだ。
実際にロスが入院する病院に軍の一群が入り込み、マイケルが雇った殺し屋を撃ち殺している(ちなみにあの殺し屋の名は「ブセッタ」という。脚本にある)。
人数が多いようだが相手はマフィアだから用心しすぎることはない。
脚本にもこうある――
「軍の分遣隊がロス配下の者たちを伴ってすばやく動く。解決すべき重要な知らせを持っているかのように」
これと似た別の軍人集団が大統領官邸のパーティ会場に足を踏み入れているが、これは政権転覆直前の切迫した状況を演出するためだろう。
「何でこういうときがなかったんだよ(吹き替え)」とマイケルにもらすフレドの言葉には、「コミュニケーションさえ取れていればおかしなことにならなかったのに」という複雑な胸中がにじんでいる。
セックスショーの劇場に登場したあのスーパーマンだが、実在した人物である。
アフリカ系キューバ人で、その一物は36センチもあったそうだ。
フレドの正体を明かす上でこの場面は好都合だったのかもしれないが、理由がもうひとつありそうだ。
当時のハバナにおけるさまざまに商業化された性を紹介するためである。
このようなショーがカジノとともにキューバに活気を与え、多くの観光客を引きつける力となっていたからだ。
あれは、マフィアの魔力と堕落を象徴する一物でもあったのだ。
アル・パチーノは、この劇場の場面こそが本作におけるマイケルの最重要シーンであると、インタビューで語っている。
【原文】
フレド「Sometimes I think I should have married a woman like you did. Like Kay. Have kids. Have a family. For once in my life, be more like Pop」
マイケル「It’s not easy to be a son, Fredo. It’s not easy」
フレド「You know, Mama used to tease me. She’d say, “You don’t belong to me. You were left on the doorstep by gypsies.” Sometimes I think it’s true」
マイケル「You’re no gypsy, Fredo」
フレド「Mikey, I was mad at you. Why didn’t we spend time like this before」
マイケル「You want a drink, right?」
フレドがウェイターを呼ぶ。
フレド「Por favor. (マイケルに)How do you say banana daiquiri」
マイケル「Banana daiquiri」
フレド「That’s it?」
マイケル「That’s it」
フレド「Ah, uno banana daiquiri… and club soda」
マイケル「Senator Geary’s flying in from Washington tomorrow night with some people, some government people. I want you to show them a good time in Havana」
フレド「That’s my specialty, right」
マイケル「Can I trust you with something, Fredo?」
フレド「Of course, Mike」
マイケル「Later on in the evening, we’re all invited to the Presidential Palace to a reception to bring in the New Year. After it’s over, they’re going to take me home in a military car, alone, for my protection. Before I reach my hotel, I’ll be assassinated」
フレド「Who?」
マイケル「Roth. It was Roth who tried to kill me in my home. It was Roth all along. He acts like I’m his son, his successor, but he thinks he’s gonna live forever. He wants me out」
フレド「How can I help?」
マイケル「You just go along as though you know nothing. I’ve already made my move」
フレド「What move?」
マイケル「Hyman Roth’ll never see the New Year」

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