最初にDVDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に実際に話された会話の原文を紹介します(DVD収録の英語字幕とは違います)。
医者の診察を受けた後のハイマン・ロスと話すマイケル・コルレオーネ
【字幕】
ロス「フレドが金を持ってきたろ。どこにある? (マイケルの顔色を見て)手を引く気か?」
マイケル「しばらく、様子を見る。気分は?」
ロス「最悪だ。ラクに小便できたら金などいらん」
マイケル「誰がフランクを殺った」
ロス「ロサト兄弟だ」
マイケル「命令を出したのは? 俺ではない」
ロスが立ち上がって話し出す。
ロス「一緒に育った男がいる。年下だが、わしを慕ってた。2人で仕事を始めた。裏の仕事だが大半はうまくいった。禁酒法時代、糖ミツをカナダへ運んで財を築いた。君の父さんもな。わしはその男が好きだし信頼もしてた。
その男は考えた。西海岸に向かうGI相手に砂漠に町を作ろうと。男の名前はモー・グリーン。彼の作った町がラスベガスだ。たいした男だ。先見の明があった。
だが町には彼の名前も銅像も立ってない。誰かが彼の目に弾を撃ちこんだ。誰の命令かは分からん。それを聞いた時わしは怒らなかった。彼は頑固だし、バカも言う男だ。死ぬのも仕方ないと思った。
自分に言いきかせた。これが我々の仕事だ。聞いたか? 誰が命令したか。それが何の役に立つ?
君の部屋の200万だが、わしはひと眠りする。目が覚めてここにあれば君は相棒だ。なければ残念だ」
【吹き替え】
ロス「フレドが持ってきたカバンには金が入ってると思うが、どこにある? (マイケルの顔色を見て)手を引くのか?」
マイケル「ええまあ、様子を見ようかと。気分はどうです?」
ロス「最底だ。ラクに小便ができるなら400万ドルでも出すよ」
マイケル「フランキーを殺らしたのは誰だ」
ロス「ロサト兄弟だ」
マイケル「分かってる。だが許可したのは? 私はしてない」
ロスが立ち上がって話し出す。
ロス「幼なじみの男がいた。年下だったから私になついてた。それで、2人で仕事を始めた。裏稼業が多かったが景況はよくていい金になった。禁酒法時代には、カナダに糖ミツを運びこんで一財産作った。お父さんも同じだ。そいつはいい男だった。大好きだった。信頼もしてた。
そうこうするうちにそいつはひらめいた。でかい町を作ろうと。西海岸へ移動するGIが一息いれる砂漠の町だ。その男こそモー・グリーンだった。そして彼が作った町がラスベガスだ。えらい奴だった。ビジョンもガッツもあった。
だが町に名前は残ってない。石碑もなければ銅像も立ってない。何もない。誰かが、彼の目を撃ち抜いたからだ。誰の命令かそれは知らん。聞いた時、怒らなかった。モーの強情なのはよく知ってたし、大言壮語でバカを言い散らす。だから死んだと聞いても、仕方ないと思った。
自分に言い聞かせたもんだ。これが、自ら選んだ稼業なんだからと。だから聞かなかった。誰の差し金かも。そんな事はビジネスに何の関係もないからだ!
200万は、君の部屋に、あるな。私はこれから、ひと眠りする。起きた時、テーブルに金があれば、我々はパートナーだ。なければ、話は流れる」
ここでロスが敵であることの最終確認がなされる。
わざと挑発してフランク殺し(じつはロスの謀略)を間接的に認めさせ、そこではっきりとロスの暗殺を決めたのだろう。
シーンの最後に、用心棒ブセッタに顔を向けるマイケルの後ろ姿がその意思を物語る。
脚本にはコルレオーネが経営権を握ったトロピカーナで、トムとネリがカジノの上前をはねる場面がある。
当時のラスベガスでは上がりを隠すのが当たり前だったそうだが、その理由にまずは税金逃れがある。
さらには、裏金を出資者のドンたちに分配したり政治家や警察への賄賂として使うといった事情もあった。
トロピカーナはもともとロスが所有者だから、コルレオーネが加わる前から定期的にマイアミに多額の裏金が運ばれていたようだ。
脚本のその場面では、トムとネリが用意した裏金300万ドルを運び屋がジュネーブまで持って行き、スイス銀行の口座に入金するという話が述べられている。
キューバ大統領バティスタの口座だ。
ロスが要求した金がその300万なのだが、どういうわけか、誕生日のシーンでマイケルにまだ入金されていないとこぼすのだ。
じつは運び屋はキューバに来てロスに届けており、ロスはその場でキューバの憲兵(大統領の使い?)に金を渡している。
運び屋は口封じのため憲兵によって殺された。
スイス銀行に入金されてないと聞かされたマイケルはしかたなくフレドを呼び出し、300万を持ってこさせる。
ロスとぶつかる映画のこの場面ではマイケルは金を持ってきていないが、脚本では持参している。
つまり脚本段階においては、ロスはマイケルから巧妙に600万ドルをせしめたのである。
そのため映画とはロスの最後のせりふが違っている。
金について「目が覚めてここにあれば君は相棒だ。なければ残念だ(字幕)」ではなく、「ここにまだあれば相棒だ。なくなってたら残念だ」であった。
【原文】
ロス「My sixth sense tells me your brother, Fredo, brought a bag full of money. Where is it? (マイケルの顔色を見て)You’re pulling out?」
マイケル「Just want to, just want to wait. How do you feel?」
ロス「Terrible. I’d give four million just to be able to take a piss without it hurting」
マイケル「Who had Frank Pentanjeli killed?」
ロス「The Rosato brothers」
マイケル「I know. But who gave the go-ahead? I know I didn’t」
ロス「There was this kid I grew up with, he was younger than me. Sort of looked up to me, you know. We did our first work together, worked our way out of the street. Things were good, we made the most of it. During Prohibition we ran molasses into Canada, made a fortune, your father too. As much as anyone, I loved him and trusted him.
Later on he had an idea to build a city out of a desert stopover for GIs on their way to the West Coast. That kid’s name was Moe Greene, and the city he invented was Las Vegas. This was a great man, a man of vision and guts.
And there isn’t even a plaque, or a signpost, or a statue of him in that town. Someone put a bullet through his eye, no one knows who gave the order. When I heard it, I wasn’t angry. I knew Moe. I knew he was headstrong, talking loud, saying stupid things. So when he turned up dead I let it go.
And I said to myself. This is the business we’ve chosen! I didn’t ask who gave the order because it had nothing to do with business!
That two million in the bag in your room…I’m going in, take a nap. When I wake, if the money’s on the table, I’ll know I have a partner. If it isn’t, I know I don’t」

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