なぜ、マイケルは議会でわざわざ声明文を読んだのか?  ―マイケル・コルレオーネに死美れる(29発目の銃弾)―




最初にDVDの字幕と吹き替えを、次に本文を、最後に実際に話された会話の原文を紹介します(DVD収録の英語字幕とは違います)。







連邦議会の調査委員会に召喚されたマイケル・コルレオーネ



【字幕】

委員長「ミスター・コルレオーネ、質問をします。先ほどの証人ウィリー・チチが証言をしました。あなたはマフィア最強の頭首だそうですが、そうですか?」


マイケル「違います」


マイケルの後ろで座るケイが浮かない顔をしている。


委員長「証人の話では ’47年のNY市警部、およびソロッツォ殺しはあなたの犯行だと。否定を?」


マイケル「否定します」


委員長「’50年、NY5大ファミリーの頭首殺害計画をあなたが立てたというのは?」


マイケル「デタラメです」


委員長「クエスタッド君」


クエスタッド「ラスベガスの3大ホテルを支配してると」


マイケル「いや、株は持っているがわずかだ」


隣りに座るトム・ヘイゲンがマイケルにささやく。


マイケル「IBM、ITTの株も持ってる」


クエスタッド「賭博及び麻薬の利権を握っているというのは? ニューヨーク州で」


マイケル「違います」







【吹き替え】

委員長「コルレオーネさんは、法的な権利を有しております。さて、前回証言を願った証人ですが、姓名はウィリー・チッチ。彼によれば、あなたは我が国最強のマフィアファミリーのボスですが、そうですか?」


マイケル「いえ、違います」


マイケルの後ろで座るケイが浮かない顔をしている。


委員長「その証言によれば、1947年のニューヨーク市警の警部殺害はあなたの犯行だという事です。同時にもう一人のバージル・ソロッツォ殺害もですが、否定しますか?」


マイケル「否定します」


委員長「では、1950年の事件はどうですか。あなたが画策して、ニューヨークのいわゆる5大ファミリーのボスを、抹殺した。勢力強化のためとされてますが、事実ですか?」


マイケル「まったくの偽りです」


委員長「クエスタッド君」


クエスタッド「ラスベガスの3大ホテルをあなたが支配しているというのは事実ですか?」


マイケル「いえ、事実ではありません。ホテルの株は持ってますがほんの少しです」


隣りに座るトム・ヘイゲンがマイケルにささやく。


マイケル「株はほかにも持ってます。IBMやIT&Tの」


クエスタッド「コルレオーネさん。あなたはニューヨーク州における賭博と麻薬に関連する、利権を握っていますか?」


マイケル「握っていません」







はっきりわかることが2つある。


マイケルが完全にうそをついていることと、クエスタッドがいかにもハイマン・ロスを代弁していることだ(ギーリー議員はコルレオーネを代弁していた)。


追求するほうもされるほうも、いずれも不誠実さを議会でさらしている点がおもしろい。


マイケルをまったく見ないで黙っているケイだけが正直者だ。


掃き溜めに鶴である。


事実に反してマイケルはラスベガスの巨大ホテルの支配を否定し、大企業の株主でもあると訴えた。


賭博につきまとう組織犯罪のイメージを払い、基幹産業を支える立派な株主でもあるとアピールしたかったのだろう。


そしてこの後、そのマイケルが家族愛や愛国心を盛り込んだ声明文を読み上げる。


不誠実な政治家に責められる一方で誠実な妻に嫌われ、犯罪行為によって富を得る一方でまっとうな投資もしているふりをする――


そんな男が、人間らしさを失った顔で人間らしい言葉を吐くのだ。


マイケルはすっかり堕ちていた。







【原文】

委員長「Now, Mr. Corleone, you have been advised as to your legal rights. We have testimony from a witness, a previous witness, one Willy Cicci. He has stated that you are head of the most powerful Mafia family in this country. Are you?」


マイケル「No, I’m not」


マイケルの後ろで座るケイが浮かない顔をしている。


委員長「The witness has testified that you are personally responsible for the murder of a New York City police captain in 1947, and with him a man named Virgil Sollozzo. Do you deny this?」


マイケル「Yes, I do」


委員長「Is it true that in the year 1950, you devised the murder of the heads of the so-called Five Families in New York, to assume and consolidate your nefarious power?」


マイケル「It’s a complete falsehood」


委員長「Mr. Questadt」


クエスタッド「Is it true that you have a controlling interest in three of the major hotels in Las Vegas?」


マイケル「No, it is not true. I own some stock in some of the hotels there, but very little」


隣りに座るトム・ヘイゲンがマイケルにささやく。


マイケル「I also have stock in IBM and IT&T」


クエスタッド「Mr. Corleone, do you have any interests or control over gambling and narcotics in the State of New York?」


マイケル「No, I do not」





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