「私の目には完璧な演技だった。芸術品だ」  ―マリオ・プーゾに死美れる(アル・パチーノ編)―

ゴッドファーザー (12).jpg



『ゴッドファーザー』公開前後、原作者のマリオ・プーゾがどのような気持ちでいたのかを追っていきます。


まずプーゾの言葉を紹介し、その後に本文を続けています。


第一作目公開当時に出版されたプーゾの手記『The Making of the Godfather』をおもに利用しました。









【その1】

「マイケル役のパチーノには、私がスクリーン上のマイケルに望むすべてがあった。


信じられなかった。私の目には完璧な演技だった。芸術品だ」




【その2】

「ブランドは最高だ。ロバート・デュヴァルもだ。それにリチャード・カステラーノも。


それどころか、この3人はすべてアカデミー賞を取れるのではないか。彼らは素晴らしい。


だが思いがけない最高の贈り物は、アル・パチーノだった」









《本文》


マリオ・プーゾははじめからアル・パチーノを気に入っていた。


コッポラ監督に見せられた映像がよかったからだ。


スクリーンテストが始まった当初は、マイケル役をどうするかは当然ながら大問題だった。


映画でもっとも重要な役だ。


あるときにはジミー・カーンがそうなりそうだった。


最後に浮上したのがアル・パチーノである。


ただ、ニューヨークの演劇界で大成功していたとはいえ誰も映画では見ていなかった。


コッポラはパチーノがイタリア映画用に行っていたスクリーンテストの映像を手に入れ、皆に紹介したのだ。



だが反対意見もあった。


ファミリーのなかにおいていかにもアメリカ人ふうでなくてはいけないキャラなのに、背が短すぎるし顔つきがどう見てもイタリア人なのだ。


パチーノは一日中テストされた。


指導や稽古もされた。


すべてを試された。


それでもパラマウント映写室で披露されたスクリーン上のパチーノは、誰が見ようとやっぱりさえなかった――コッポラ監督を除いて。



コッポラは訴え続けた。


とうとう製作部長のエヴァンズに言われた――「フランシス、この件では君は独りぼっちだ」。


はじめて耳にするうまさの“ノー”だとプーゾは思った。



他の人たちを相手にさらにテストが行われるもマイケル役は見つからなかった。


公開の延期すら話に出た。


コッポラはパチーノこそがふさわしいと訴え続けた。


結果的にエヴァンズは、マーロン・ブランドに説得されてアル・パチーノを認めることになる。



ブランドに推薦されていたことを当時のパチーノは知らなかったのだが、プーゾもそうだった。


しばらく現場から離れる用事があり戻ってみるとマイケル役にパチーノが決まっていたのだ。


プーゾは脚本の仕事が終わったあとで相談役として働いていた。



だが、製作についての権限はなかった。





この記事へのコメント

  • 柴刈り爺

    面白い記事を偶々見つけて、今日は運が良い。
    2023年09月24日 11:30
  • たまケロ1号


    >ありがとうございます!
    2023年09月24日 12:56