最初にBDの日本語字幕を、次に本文を、最後に同BD収録の英語字幕を紹介します。
卒業日
【日本語字幕】
ジョーカー(ナレーション)「卒業式が数日後に迫った。30-92小隊の新兵は全員鍛え上げられ、自分の腹ワタを食う覇気に満ちていた。教官たちは誇らしげに巣立つ荒鷲たちを見ていた。海兵隊はロボットを求めない。海兵隊は殺りく者を求める。海兵隊は不死身の男たちをつくろうとする。恐れに無知な男たちを」
脚本上は120人中100人が最後まで残ったとなっている。
当時、実際の訓練キャンプでの残存率もそのあたりだったのだろうか。
「教官たちは誇らしげに巣立つ荒鷲たちを見ていた」の部分は原文に正確ではない。
ほんとうは「教官たちは誇らしげに、われわれが手に負えないほどに成長しつづけるのを見ていた」である。
原作には教官に逆らうほどふてぶてしい新兵たちの様子が描かれている。
軍曹の太ももを銃剣で突き刺す者もいたのだ。
そのとき軍曹はこう褒めた――
「この男はきっと優秀な海兵隊員になる。いずれ将軍にしてやってもいいくらいだ」
ロボットなら忠実なだけだが、海兵隊が求めるのは殺し屋だから反抗は美徳なのである。
ほほえみデブはいじめの夜より人が変わり、教官をにらむようにもなった。
恨みからでなく、おそらくは自分をしごいてきた者を敵として認識するようになったのではないだろうか。
殺しこそ兵士の本分なのだとしたら、理想的な状態になったのだ。
こんな記述が原作にある――
「戦争が醜悪なのは真実が醜悪だからであって、戦争そのものは実に真摯だ」
兵士たちはなるべき存在になっただけで、狂っているのはこのような訓練を必要とする現実のほうなのである。
ハートマン軍曹がいかにも醜悪なのは、そのせいかもしれない。
このあとの卒業式での行進シーンは、撮影最終日に撮られたという。
初日はダナンの街で娼婦とジョーカーがやり取りするシーンだ。
前半の訓練シーンでは頭を坊主にするため、順撮りだと髪が伸びるのを待たなくてはいけない。
そのせいでベトナムが舞台の後半が先に撮影されたのだ。
また、卒業時にジョーカーが付けていたバッジは「一級射手(シャープシューター)」であり、カウボーイは「特級射手(エキスパート)」であった。
カウボーイのほうがうまかったことになる。
ちなみに最下位は「二級射手(マークスマン)」という。
【英語字幕】
ジョーカー(ナレーション)「Graduation is only a few days away and the recruits of Platoon 3092 are salty. They are ready to eat their own guts and ask for seconds. The drill instructors are proud to see that we are growing beyond their control. The Marine Corps does not want robots. The Marine Corps wants killers. The Marine Corps wants to build indestructible men. Men without fear」
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