映画『クリムゾン・タイド』は今、どう見られているのか?  ―人気作の現在地(スリラー編3)―

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   邦題: クリムゾン・タイド

   原題: Crimson Tide

  公開年: 1995年

 収録時間: 116分

 IMDb評点: 7.4

 私的評価: 7.2

 ジャンル: アクション、ドラマ、スリラー、戦争

  出演者: デンゼル・ワシントン、ジーン・ハックマン

   監督: トニー・スコット

   概要: 核基地を占拠したロシアの反政府勢力に対抗するためアメリカから弾道ミサイル潜水艦が出港するも、ミサイル発射をめぐり艦長と副長が激しく対立するようになる







2023年以降に投稿されたIMDbレビューから10本紹介します。


そのあとにコメントを記しています。





【ただの娯楽作でなく……】

「ジーン・ハックマンが最近亡くなったため、トニー・スコットによる1995年のスリラー『クリムゾン・タイド』をまた見ることにした。


エンタメというだけでなく、過ぎ去った時代を厳しく考えさせられるようだった。


ただのおもしろい潜水艦ドラマを超えた名人芸で緊張を生む本作は、強力な演技によって支えられている。


リーダーシップや命令の重みについての驚くほど繊細な探求によってもだ」






【地球上でもっとも偉大な……】

「この映画が公開されたとき私は子どもだったが、ハックマンとワシントンのけんかを10分前のことのように覚えている。


これほど緊迫したシーンは見たことがない。映画史上最高の決闘のひとつとすら言えそうだ。パンチはたった一回なのに!


地球上においてもっとも偉大な俳優の2人が同じシーンに出ているとは。なんという快感か。


デンゼル、ありがとう。そしてジーン・ハックマン、ありがとう」






【なんだか奇妙な……】

「境界線がはっきりしていたころ、ロシア(当時ソ連の後釜だった)は明確に敵と位置づけられていた。


そんなわかりやすい物語には、冷戦時代の白黒はっきりした道徳観を恋しく感じるなんだか奇妙な心地よさがある。


そこには隠れた危険があると知ってはいても」






【目に見えないあつれきが……】

「デンゼル、ハックマン、その他の人々がテーブルを囲んで兵法について話し合うシーンがある。


単純な場面でありながら、そこで発生する目に見えないあつれきがたまらない。


うまく伝えることがとてもできそうにないところだ。


が、大学の演劇教師ならこの演技や演出について教えてくれるかもしれない。


シンプルなこのシーンは素晴らしい俳優と優れた監督がいなければうまくいきそうにないことも」






【2人の違いとは……】

「副長のハンターは艦長ラムジーに、“せんえつながら言わせていただくと、核の世界における真の敵は戦争そのものであります”と語る。


この気持ちは、“われわれは民主主義を守るためにここにいるのであって、それを実践するためにここにいるのではない”という艦長の哲学とは異なる」









【よくあるアクションにもできたろうが……】

「現代のアクション映画における問題点のひとつはその多くがマンガ的で薄っぺらいことだ。


どれほど非現実的であろうと、アクションばかりであとは多くを求めない少年や若い男性をターゲットにしているからである。


トニー・スコットはそういう映画の作り方を知っているが、ここではそれをやらなかった」






【どれほど誇らしかったか……】

「この映画が公開された当時、アメリカにおける人種差別の現実はまだ変わりはじめたばかりだったことに言及しておくべきだろう。


デンゼルが演じる人物がついに上官と対決するシーンは、私のような有色人種にとって目が離せないほどにハラハラする。1990年代に見たときも、今でも。


“私たち”はデンゼルのそういったシーンが大好きなのだ。


こういった専門職をもつアフリカ系アメリカ人のキャラクターが白人の上司を正すのを見てどれほど誇らしく感じたか、言葉では言い表せない。


その行為にはうわべだけでない道徳的な意味合いがある。


本作に描かれるなくなりそうもない長年の悪行への復讐心など、彼には微塵もないのだ」






【夫婦げんかみたいな……】

「つまりこの映画らしきものは全部、2人の人間がお互いにほえ合っているだけなのだ。原子力潜水艦とやらはセットにすぎない。


汚れた台所で疲れた夫婦が皿洗いの順番をめぐって争うのを見るようなものだ。子どもたちにどちらを味方するのか迫りながら。


そんな話と何も違わない」






【戦争映画というよりも……】

「ひとつ欠点があるとするなら、じつはあることをめぐってひどい口論をするばかりの映画という事実だ。


はっきりとした外的な脅威がここにはない。


素晴らしい演技にはしっかり合格点をつけるがそこまでだ。


女性向けドラマのストーリーで、戦争映画じゃないからである」






【まったく現実を無視した……】

「私はSSBN(弾道ミサイル潜水艦)で勤務したことがある。


このおかしな駄作は私が途中で席を立ち返金を要求した唯一の映画だ。


見たのは10分間。現実を無視した完全なるクソである。


その後テレビでがんばって最後まで見てみたものの、ダメなものはダメだった。


(中略)


いろいろ問題点があり、暴行や殺人未遂も複数ある。


本来ならあの艦長は軍法会議にかけられ海軍の刑務所で死ぬまで過ごすことになるところだ。


バカでアホで話にならない映画なのだ」







《コメント》

痴話げんかといった批判は意外だった。


たしかにそうかもしれない。


ただ、小さな話でもやり方次第で立派なものになる。


ポーカーやチェスごときの場面でも相手がテロリストだったり死神だったりすると緊迫感が増すみたいな。


コップの中の戦争であっても、これは核ミサイル発射をめぐるけんかだからたいへんなスリルがある。


といっても娯楽性を求めすぎるとどうしてもウソが必要になる。


艦長がペットの犬を艦内に持ちこみ、しかもその犬が通路でおしっこするとか(笑)。


「たたき上げの好戦派で白人のオヤジ」対「インテリの反戦派で黒人の若者」といった単純化もされる。


結果、実情を知る観客からこき下ろされたりする。


まあ多少やりすぎがあってもしょせんはフィクションだし、おもしろくできていればただのエンタメを超えた名作にもなる。


映画の世界では無理が通れば道理が引っこむのだ。


現実世界でのそれは勘弁してほしいものだが。





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