映画『アム・アイ・レイシスト?(仮題)』  ―2024年全米週末興収トップ10作品(ドキュメンタリー編1)―

          Amazon   Music         /         Am I Racist?                邦題: アム・アイ・レイシスト?(仮題)      原題: Am I Racist?     公開年: 2024年    収録時間: 100分    IMDb評点: 7.3    ジャンル: ドキュメンタリー、コメディ     出演者: マット・ウォルシュ      監督: ジャスティン・フォーク      概要: 保守派の政治評論家が自分に人種差別的な面があるのかどうかを知ろうと決意する ランクイン回数: 2回 IMDbのレビューから4つ紹介します。 【その1】 「私たちの社会ではひどい人種差別行為が起こりつづけている。 だがこの社会は芯まで人種差別的だとか、誰もが人種差別主義者であると結論づけるのはナンセンスだ。 映画の狙いはDEI(多様性・公平・包摂)をビジネスとする業界(およびカルト)を解明することだ。 その見掛け倒しの知性のあらゆる面において」 【その2】 「偽善の世をわたるマット・ウォルシュはまったく素晴らしい。 庶民との接し方がすごくよかった。黒人であれ白人であれ。メディアとやらがもたらす目くらましなどなく。 相手が勤勉なアメリカ人であろうが車のドライバーであろうが。 つまるところ、すべてはカネなのだ。 そ…

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映画『Renaissance: A Film by Beyoncé(ルネサンス: ア・フィルム・バイ・ビヨンセ)』…

     Amazon   Poster     /     ビヨンセ           邦題: Renaissance: A Film by Beyoncé      原題: Renaissance: A Film by Beyoncé     公開年: 2023年    収録時間: 169分    IMDb評点: 8.7    ジャンル: ドキュメンタリー、ミュージック     出演者: ビヨンセ      監督: ビヨンセ      概要: シンガーソングライターにして女優のビヨンセが、製作・監督・脚本・主演のすべてをつとめたコンサート映画。2023年に行われた「ルネサンス・ワールド・ツアー」をドキュメントしている ランクイン回数: 3回(12月17日時点) IMDbのレビューから3つ紹介します。 【その1】 「ビヨンセによるこの“Renaissance(ルネサンス)”はただのコンサート映画ではない。パフォーマンスアートの特別上級クラスだ。 歴史的なライブ映画“Homecoming(ホームカミング)”が築いた恐るべき土台を足場とする本作は、撮影、サウンドデザイン、洞察に満ちたドキュメンタリー映像等、あらゆる面で向上している。 ツアーを体験した者として個人的に断言できる。たしかにあのコンサートの華麗さをとらえており、凌駕するときもある映画だと」 【その2】 「“演じているときの私は自…

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映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』  ―2023年全米公開掘り出し物作品(ドキュメンタリー編1)―

Amazon Book / BEYOND UTOPIA REVIEW      邦題: ビヨンド・ユートピア 脱北      原題: Beyond Utopia     公開年: 2023年    収録時間: 115分    IMDb評点: 7.8    ジャンル: ドキュメンタリー、伝記、歴史、ニュース      監督: マドレーヌ・ギャヴィン      概要: 北朝鮮を逃げようとする家族と多くの脱北者を助けてきた韓国の人権活動家の姿を描く、サンダンス映画祭観客賞受賞作品 IMDbのレビューから3つ紹介します。 【その1】 「北朝鮮を報道する主要メディアの一般的事項に、金正恩(甘やかされて育った肥満の独裁者)の個人崇拝と彼の強力な妹(ゾッとするとか、冷血とか言えそうな)について若干きれいな伝え方をするという傾向がある。 その問題は、北朝鮮の本当の問題点、すなわち苦しんでいる国民から逃げていることにある。 彼らは深まる食糧難による餓えに耐え、公開処刑に耐え、未開発のみすぼらしさのなかで生活している。 ファシストによる偽りの洗脳と、貧困や特有の弾圧を長引かせておきながら国民に最大限の尊敬を要求する国家権力に囲まれながら。 (中略) この物語の大半に出てくる家族はみんなで国をあとにする。幼い子たちもおじいちゃんおばあちゃんも、川をわたり山岳地帯を行かなくてはならない。 だまされるかもしれない仲介人…

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映画『アフター・デス(仮題)』  ―2023年全米週末興収トップ10作品(ドキュメンタリー編2)―

        Amazon    Music         /         After   Death              邦題: アフター・デス(仮題)      原題: After Death     公開年: 2023年    収録時間: 108分    IMDb評点: 6.1    ジャンル: ドキュメンタリー      監督: スティーヴン・グレイ、クリス・ラトケ      概要: 臨死体験について、経験者、作家、学者などへのインタビューや再現ドラマで追求する宗教ドキュメンタリー ランクイン回数: 2回 IMDbのレビューから3つ紹介します。 【その1】 「このテーマに関し、疑い深かったり、よく知らなかったり、気持ちが定まらなかったりしていたような人たちは本作の主張に驚くほど啓蒙されるかもしれない。 びっくりするくらい多くの観客のいる一般的な映画館で広く公開されている事実は、タイトルであるアフター・デス(死後)という概念の訴求力と明白な普遍性を雄弁に語ってもいる。 この映画がきわめて鋭敏に示すように、死は終わりではない。 そう考えるべきときだ」 【その2】 「死後の世界があるはっきりとした証拠を期待してもこの映画は何も証明していない。 では、そのしるしとなるものはこの世にないのか? ある。それはある。しかもここに記録されている。 あなたは先入観…

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映画『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』  ―2023年全米週末興収トップ10作品(ドキュメンタ…

 Amazon Poster / テイラー・スウィフト       邦題: テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR      原題: Taylor Swift: The Eras Tour     公開年: 2023年    収録時間: 169分    IMDb評点: 8.3    ジャンル: ミュージック     出演者: テイラー・スウィフト      監督: サム・レンチ      概要: 世界的スーパースターのシンガーソングライター、テイラー・スウィフトのコンサート映画。これまでに発表された各スタジオアルバムを一つひとつの時代(ERA)ととらえ、全10枚からの曲を10幕構成で演じている ランクイン回数: 3回(10月29日時点) IMDbのレビューから2つ紹介します。 【その1】 「なんと途方もないショーか! 技術的効果、演奏、ダンサー、会場、また観衆によって、この種のものとしてはかつてない最高のショーになった。 テイラーはさまざまな曲を50はそつなく演じたはずだ。どうやったらそんなまねができるのか? 3時間後、いっしょに見ていた妻と私はばててしまったのに、彼女は比較的元気なままだった。 彼女にとってこの壮観なショーを映画化するのは、おそらく北米だけで数百万人の客が増えることを意味する。 私の記録では、トロントで実際にあった公演のチケット代は2000米ドルを超えている。映画になってよかっ…

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映画『ザ・モール』  ―あやしい箱の中身をのぞく感触―

     Amazon  DVD     /     ザ・モール         邦題: ザ・モール    原題: The Mole: Undercover in North Korea   公開年: 2020年  収録時間: 123分 IMDb評点: 8.3  私的評価: 6.5  ジャンル: ドキュメンタリー、スリラー   出演者: ウルリク・ラーセン    監督: マッツ・ブリュガー    概要: 武器や覚醒剤の製造・取引など国際社会で暗躍する北朝鮮の実態を暴こうと、同国にデンマークの普通の市民が潜入する 最初にIMDbのレビューを紹介します。 その後でコメントを記しています。 【その1】(2020年10月の投稿) 「映像がなければこれが事実とは誰も思わないだろう。それほどまともじゃない。 脚本があったとしたら、あまりに信じがたい映画で楽しめないと言う批評家がおそらく出てくる。 この恐れ知らずのデンマーク人男性2人が暴露する出来事は、時としてまさに文字どおり、信じられない。 じつにきちんとできていることが、とても興味を引くびっくりな鑑賞を支えている」 【その2】(2020年12月の投稿) 「薬物や兵器の国際取引で稼ごうと必死な北朝鮮の内部を探っている。 相手がスパイかどうかの確認を北朝鮮側の当局者がしっかりやっていないのと、とりわけこの主人公の様子が実話であることを疑わ…

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ネット映画『逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生』  ―ひとりバブルのスカーフェイス―

Amazon Book / カリスマ失墜 ゴーン帝国の20年*本作と直接の関係はない書籍です。      邦題: 逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生      原題: Fugitive: The Curious Case of Carlos Ghosn     公開年: 2022年    収録時間: 95分    IMDb評点: 6.5    私的評価: 6.3    ジャンル: ドキュメンタリー     出演者: カルロス・ゴーン      監督: ルーシー・ブラックスタッド      概要: 日産とルノーを率いながらも最後は犯罪者として追われる身となったカルロス・ゴーンの人間像を探るドキュメンタリー 最初にIMDbのレビューを紹介します。 そのあとでコメントを記しました。 IMDbレビューより(2022年10月の投稿) 「独裁者の伝記を一冊でも読んだことがあるなら全部読んだも同然だ。あまりに大きな権力を握ったら人々をもう操れない。 イメージを高めたいゴーンの自己宣伝には、プーチンの影がかなりただよう。イエスマンの取り巻きには、粛清の目を光らすスターリンの影がたっぷりと落ちる。 (中略) もっと量的、分析的な内容であってほしかった。円グラフや図式を使って。 ゴーンの在任期間に生み出された会社のキャッシュ、報酬としての彼のキャッシュ、横領したとされるキャッシュについてだ。 このドキュ…

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映画『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』  ―2022年全米週末興収トップ10作品(ドキュメンタリー…

      Amazon  Music      /      Moonage  Daydream            邦題: デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム      原題: Moonage Daydream     公開年: 2022年    収録時間: 135分    IMDb評点: 8.0    ジャンル: ドキュメンタリー、ミュージック     出演者: デヴィッド・ボウイ      監督: ブレット・モーゲン      概要: グラムロックの先駆者であり俳優としても活躍したデヴィッド・ボウイの生涯を描くドキュメンタリー ランクイン回数: 1回 以下のレビューは、「全米週末興収トップ10」の記事で紹介したIMDbレビューを転載したものです(【その2】【その3】は追加分)。 【その1】 「有名人を扱う普通の伝記ドキュメンタリーではない。何がデヴィッド・ボウイにあれほど非凡な文化的影響力を与えたのかを描こうとしている。 あまりにうまいため、劇中の人物が自分たちのことを撮ったみたいに思えるほどだ。 それは、ほとんどの映画が考えもしないしそれができるものとなるとさらに数が減る、気高い到達点だ。 これぞデヴィッド・ボウイの映画である」 【その2】 「音楽、照明、色彩。こんなものは見たことがない……ボウイはすでに天国にいるが、この傑作を目にしさらなる高みに昇ってしまった。…

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映画『立候補』  ―高密度の爆笑人間ドラマ―

Amazon Video「立候補」    邦題: 立候補    英題: The Frivolous   公開年: 2013年  収録時間: 100分 IMDb評点: 7.0  私的評価: 7.4  ジャンル: ドキュメンタリー   出演者: マック赤坂その他    監督: 藤岡利充 人間くささが充満しまくる息苦しいほどに密な政治ドキュメンタリー。 2011年の大阪府知事選挙に立候補した泡沫候補者を中心に、当選できないとわかっていても選挙をやめられない人たちの姿を追っている。 本命の高級洋菓子と対抗の老舗和菓子に対する大穴狙いのB級駄菓子みたいな、 またはちゃんこ鍋としゃぶしゃぶに対するカップ麺みたいな、 あるいはクロマグロと近大マグロに対するツナ缶みたいな、 つまりはあってもなくてもいいがないとやっぱり寂しい、そういった旨さのある変わり種がゾロゾロと供される。 けっして頭のおかしい人たちではない。 意外とまともなのだ。 が、本人たちの本当の気持ちは最後までわからない。 もっと時間をかけて取材する必要があるだろうし、それでもやっと一端が垣間見える程度かもしれない。 ぼんやりとこんなことが頭に浮かんだ―― 「人間みんな自分がいちばん正しいと思って生きてるよなあ」 「理屈抜きでどうしてもそうしないではいられないことってあるよなあ」 ラストのメッセージソングは個人的…

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映画『ホドロフスキーのDUNE』  ―ホリエモン流に言えば「こいつマジ狂ってる!」―

Amazon Video「ホドロフスキーのDUNE」    邦題: ホドロフスキーのDUNE    原題: Jodorowsky's Dune   公開年: 2013年  収録時間: 90分  IMDb評点: 8.1  私的評価: 7.0  ジャンル: ドキュメンタリー   出演者: アレハンドロ・ホドロフスキー    監督: フランク・パヴィッチ 何かに取り憑かれたような人は非常におもしろい(犯罪者だと怖いばかりだが)。 映画界にはそんな監督さんや役者さんが多そうだ。 アル・パチーノなどはいかにも憑かれた人物を演じてきた俳優だが、パチーノによればフランシス・フォード・コッポラ監督がまさにそんな人間だったという。 普通ではない者たちによる世界だからこそ娯楽や芸術になるのだろう。 常識や品行方正を求められるばかりの最近の芸能関係者は気の毒である(もちろん観客も)。 アメリカ映画は子どもを使って下ネタをやるようなこぎたない作品が興行成績トップになったりでなかなか“健全”だが、昨今の主流派は言うまでもなくこぎれいなディズニーである。 だから、本作のアレハンドロ・ホドロフスキーはいかにも狂って見える。 ほとんど爆笑レベルだ。 SF小説『デューン/砂の惑星』を映像化するため、そのホドロフスキー監督が熱に浮かされたように奮闘した記録である。 映画製作の知識が何もなかった前衛演劇の人だからはじめから…

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ネット映画『幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない』  ―犬神家の一人族―

Amazon Video「幻の動物王国」   邦題: 幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない  公開年: 2017年 収録時間: 66分 私的評価: 6.8 ジャンル: ドキュメンタリー  出演者: 本多忠祇(ただまさ)   監督: クーロン黒沢 千葉の田園地帯の一角に粗大ゴミがあふれる場所がある。 そこで大量の犬といっしょに一人のオヤジが住んでいる。 元有名人だ。 どんな人かというと、アマゾンプライムビデオの紹介文が端的に教えてくれる―― 「30年前、千葉の奥地で数百匹の捨て犬を養う男が話題となった。狂気のカリスマで多額の寄付を集めたその男・本多忠祇と、彼の王国『しおさいの里』。大雑把な飼育を暴露され、国民的大バッシング。支持者は去り、長い月日が経った今もなお、たったひとりで沢山の犬を養うその真意とは?」 監督さんは冒頭でこう語る(字幕)―― 「どんなキチガイかと物見遊山でしおさいの里を訪れ、本人を目の当たりにした私は、神がかったカリスマと、過激かつ、狂気と紙一重の混沌とした彼の思想に大いなる衝撃を受け、その虜となってしまう」 もはや多くの人が遠ざける「キチガイ」なる言葉を平気で使う人が虜になるオヤジとは、どんな人間なのか? 以下がインタビューの状況だが、周囲で犬がこれでもかとほえまくっており、本人もなまりのある身勝手な話しぶりであるため妙な雰囲気が満ちている。 わかりにくい話が多いので単純化し…

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映画『スーパーサイズ・ミー』  ―ファストフードばかりが悪いのか?―

Amazon Video「スーパーサイズ・ミー」   邦題: スーパーサイズ・ミー   原題: Super Size Me  公開年: 2004年 収録時間: 100分 IMDb評点: 7.2 私的評価: 6.8 ジャンル: ドキュメンタリー  出演者: モーガン・スパーロック   監督: モーガン・スパーロック ドキュメンタリー映画の多くは左に寄りがちだから嫌われやすい。 が、マイケル・ムーアのように愉快なキャラだったり、本作のように企画がユニークだとヒットしたりする。 実際、おもしろい。 ファストフードがいかに体に悪いか、監督・主演のモーガン・スパーロックが身をもって証明した人体実験の記録である。 マクドナルドの商品を30日間、朝昼晩ずーっと、黙々と口に運び、もくもくと食し、モクモクと太り、盛苦盛苦と病んでいくのだ。 健康体だったスパーロックがみるみる生活習慣病患者へと墜落、いや堕落していく。 たぶんこんなことを考えながら―― がんばればヒットだ! 賞だ! 話題だ! 名声だ! 批判?……上等だ! ただし、反食肉でも反マクドナルドでもない。 食品の大量生産・大量消費がテーマなのである。 『スーパーサイズ・ミー2:ホーリーチキン!』なる続編もあって、マクドナルドを含めた多くのチェーン店をやり玉に挙げている。 あちこち訪れて店内で食べながら、「まずい」だの「ずるい宣伝」だの「…

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映画『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』  ―肉食がなくなると、どうなる?―

アマゾン・ポスター「アーノルド・シュワルツェネッガー」   邦題: ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実   原題: The Game Changers  公開年: 2018年 収録時間: 108分 IMDb評点: 8.5 私的評価: 6.5 ジャンル: ドキュメンタリー 健康、環境、動物愛護などのテーマで菜食をうながすドキュメンタリーは多い。 これは運動能力への影響という切り口の作品である。 とにかくこれでもかというくらい野菜ばかり食べてるスポーツ選手の優秀さが披露される―― 古代ローマのグラディエーターたちは菜食だった! 野菜を食えば重量挙げで勝てる! 競輪で勝てる! マラソンで勝てる! 精力絶倫にもなる! 年を食っても若い者に負けない! プロデューサーにもそうそうたるスターが並ぶ―― ジェームズ・キャメロン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジャッキー・チェン、ノバク・ジョコビッチ(テニスプレイヤー)などなど。 おいしい食肉は簡単にはなくなりそうもない。 とはいえ、タバコも何だかんだでとうとう絶滅危惧種になってしまったからどうなるかわからない。 タバコと似た状況になるとすれば、こうなっていくかもしれない―― まずは、この映画の主張が真実だとすると運動選手の成績がすべて向上し新記録が続出する。 飲食店ではタバコに続き肉料理が禁じられるようにな…

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映画『Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密』  ―なぜ、ジェームズ・キャメロンは『アバタ…

アマゾン・本「Cowspiracy: The Sustainability Secret」   邦題: Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密   原題: Cowspiracy: The Sustainability Secret  公開年: 2014年 収録時間: 90分 IMDb評点: 8.3 私的評価: 7.0 ジャンル: ドキュメンタリー   監督: キップ・アンデルセン、キーガン・クーン ヴィーガン(完全菜食主義者)が肉食を嫌う理由には動物愛護や健康だけでなく、環境保護もあることを知ってはいた。 が、「もある」どころか、それこそが肉食をやめるべき最大のポイントであるとガツンガツン訴えるドキュメンタリーである。 おもな点は序盤で語られている(ネット配信の字幕版から引用)―― アンデルセン監督「国連の報告だと温室効果ガスの排出量は、運輸関係よりも畜産関係のほうが多いらしい。家畜が大量のメタンを排出しているのだ。その後も調査を続けて分かった。家畜は地球温暖化の主要因なだけでなく、環境破壊につながる資源消費の最先鋒だったのだ」 ガスの問題以外に、飼料の生産に必要な分も含め畜産には大量の水が消費されるという―― 同上「ハンバーガー1個を作るのに2500リットルが使われるのだ。家庭での水使用は国内(アメリカ)の全使用量の5%。一方畜産では55%に及ぶ」 森林減少の原因にもなっている―…

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映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』  ―真の問題はどこにあるのか?―

Amazon Video「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~」   邦題: ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~   原題: The True Cost  公開年: 2015年 収録時間: 92分 IMDb評点: 7.7 私的評価: 5.5 ジャンル: ドキュメンタリー   監督: アンドリュー・モーガン ファストファッションの業界は発展途上国の労働者を搾取しているといわれている。 一方、低賃金で雇えるからそこに工場を作るのであって、そうでなければ雇用の機会も生まれないともいう。 本作ではそういった服飾業界の労働問題が描かれる……だけではない。 大量生産、大量消費がもたらす環境への悪影響(工場の廃液やゴミなど)を告発する映画にもなっている。 正すには経済システムを変える必要があるというがどう変えるべきかの具体案はなく、ただ大企業への批判が展開される。 よって悪く言えば、ファッションをだしに使った反資本主義のプロパガンダである。 ただ、普段あまり目にすることのない事実も学べる。 ファストファッションによって世界がどうなったのか(ネット配信の字幕版から引用)―― ジャーナリスト「かつてファッションにはシステムがありました。ショーは春夏秋冬に行われ人々が見に行く。このシステムが長い間続いてきました。それはもう過去のものです」 同上「(H&Mの店…

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映画『非認可』  ―UFOの存在を政府が認めない理由とは何か?―

アマゾン・ポスター「I WANT TO BELIEVE」   邦題: 非認可   原題: Unacknowledged  公開年: 2017年 収録時間: 100分 IMDb評点: 7.1 私的評価: 5.5 ジャンル: ドキュメンタリー   監督: マイケル・マッツォーラ UFOや宇宙人来訪について政府が隠し続けるのは、軍産複合体などの既得権益層を守るためだと主張するドキュメンタリー。 宇宙人と交流すればエネルギー等の高度な技術が手に入る……そうすれば文明が一気に進んで平和になる……すると戦争で食っている者たちが困る……だから巨額の予算を投入してでも民衆をだます……そういうことらしい。 IMDbのレビューを読むと肯定派も否定派もいるが、ヤバいのもいる。 政治的に極端な立場にいる人や宗教の狂信者などに特有の没入感があるのだ。 中心人物は「暴露計画創設者」として紹介されるスティーブン・グリアという医学博士だが、この人は教祖みたいなものかもしれない。 ただ、政府が必死で隠したい事柄がこうやって堂々と映画になるのはなぜなんだろう。 「一般人の反発をあおって逆に活動家をつぶすため」とか言われそうだが。 このドキュメンタリーには元政府高官や軍人なども多数登場しているから説得力があるようにも見えるが、やはり相当に確実な物証がないと信憑性を得るのは難しい。 ネットフリックスで配信中。 IMDbレビ…

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ネット映画『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』  ―“天は我々を見放した”―

アマゾン・本「Fyre Festival Notebook」   邦題: FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー   原題: FYRE  公開年: 2019年 収録時間: 97分 IMDb評点: 7.3 私的評価: 7.0 ジャンル: ドキュメンタリー、ミュージック   監督: クリス・スミス イベント会社「FYRE」の崩壊を描くドキュメンタリー。 バハマのある島で豪華な音楽フェスティバルを催そうとするのだが、あまりにずさんな計画であったために、社員、関係者、観客のすべてがガタガタになっていく。 邦画の『八甲田山』を思い出した。 似たような面のある同作には「天は我々を見放した」という名せりふがあったが、ここでもその言葉はピッタリ当てはまる。 多くのインタビューの中から印象に残ったものを紹介する(ネット配信の字幕版)。 音楽フェス・コンサルタント「(創業者のビリー・マクファーランドについて)彼は妄想に浸っていて聞く耳を持たなかった。心の中で問い続けたよ。“こいつは天才なのか、狂人なのか”。反対の声もアドバイスも聞かないから。(今はどう思う? と聞かれ)彼は嘘つきだ」 FYRE元幹部「誰かの熱意に乗ると、エナジーとか信念とか、それでただ走り続ける。こんな終わりになるなんて誰も思ってなかった。思ってたらこんなことにはならない」 前出のコンサルタント「災難だったよ。イベントを開催するたびに災難だと感じ…

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映画『ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-』  ―とてつもないろくでもなさ―

アマゾン・ラペルピン「フラットアースソサエティ」   邦題: ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-(リンク先は「地球平面協会」のページ)   原題: Behind the Curve  公開年: 2018年 収録時間: 96分 IMDb評点: 6.4 私的評価: 5.8 ジャンル: ドキュメンタリー   監督: ダニエル・J・クラーク 地球は本当は平面であり、球体だというのは政府やNASAの陰謀と信じている人たちの活動を撮ったドキュメンタリー。 そんな運動をシャレでなく本気でやっているのはすごい、というよりとんでもない、というか表現できる言葉がまったくない。 あまりに異常なので、あきれたり腹が立ったりを超越して同じ人間とは思えないほどである。 関係者や学者などのコメントがたくさん紹介されるが、その中から印象に残ったものを列挙する(ネット配信の字幕版)。 精神医学者「常識や知識を疑うところから始まる。政府も信じられず科学者もあやしい。それが前提なのであらゆる事柄を疑う。彼らの多くは証拠を見せてもさらに複雑な説を思いつき、私たち学者には信じがたい仮設を立てる」 高校教師「彼らは賢いので知識不足が原因ではない。教育の誤りかもしれない。そういう人たちがいる。普段から権力を疑うよう教え込まれてその考えに毒されている」 物理学者「自分の誤りを実証するデータは探さないし、精査することもない。自分を正当化するデータ…

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映画『サムライと愚か者 -オリンパス事件の全貌-』  ―ひとつで十分アーカイブ―

アマゾン・本「サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件」   邦題: サムライと愚か者 -オリンパス事件の全貌-   原題: Samurai and Idiots: The Olympus Affair  公開年: 2015年 収録時間: 76分 IMDb評点: 6.8 ジャンル: ドキュメンタリー  出演者: マイケル・ウッドフォード(社内の不正を暴こうとして解任されたオリンパスの元イギリス人社長)   監督: 山本兵衛 IMDbレビューより(2015年12月の投稿) 「表面的には、この事件は生き残るため故意に道を踏み外す大企業のいつもの話だ。 だがおそらく本作がより深く追求するのは、二つの文化が互いにやっていく困難さである。 ウッドフォードの開放性と、彼が日本人の同僚たちについて秘密主義(人によっては二枚舌と言うかもしれない)と感じたものを対比させたのだ。 彼は日本社会を支配する個人と全体の相互関係を受け入れられなかったか、あるいはそうしたくなかったのかもしれない。 受け入れてしまうと、個人の名を汚す悪事をさらす羽目によく陥るからだ(日本の多くのビジネス関係者は認めたがらないだろうが)」 公式サイト ウィキペディア「オリンパス事件」

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映画『MIFUNE: THE LAST SAMURAI』  ―ひとつで十分アーカイブ―

アマゾン・DVD「Mifune: The Last Samurai」   邦題: MIFUNE: THE LAST SAMURAI   原題: 同上  公開年: 2015年 収録時間: 80分 IMDb評点: 7.2 ジャンル: ドキュメンタリー   監督: スティーヴン・オカザキ IMDbレビューより(2017年5月の投稿) 「三船敏郎のドキュメンタリーを見ようという人なら誰だって、『悪い奴ほどよく眠る』『天国と地獄』『生きものの記録』で演じたような姿がほぼ抜けていることに落胆するはずだ。 同様にチャンバラ時代劇のファンなら、ちょっとだまされた気になるのも明らかだ。仲代達矢にまるで触れていないため、三船の歴史として不完全に感じるのだ。 本作の試みは評価しているので、三船のファンの人にはもちろんお薦めしたい。だが、もっと良い作品になれたかもしれない」 公式サイト ウィキペディア「三船敏郎」 三船作品のIMDbランキング アマゾン・本「サムライ 評伝 三船敏郎」

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